2012/06/09 世田谷Bセンスさんぽ・世田谷線沿線を歩く 実施レポート

日 時: 2012年  6月9日(土) 10時00分~16時30分
天 候: 小雨
コース概要: 東急世田谷線・三軒茶屋駅から若林駅まで電車に乗車、若林駅から山下駅まで徒歩。
コースリーダー: 芝小路晴子
レポーター: 芝小路晴子
データ:
Bセンス識別チャート
Bセンス
識別チャート
Bセンスレーダーチャート
Bセンス
レーダーチャート
Bセンスコースマップ
コースマップ

東京・世田谷区の中央部を走る東急世田谷線の沿線を歩くこのコースは、「Bセンスさんぽ」のやり方をつくるために、2009年10月、2011年11月、2012年3月に歩いたところです。広く皆様をお誘いするのは、今回が初めて。世田谷区は、東京23区の中で最も人口が多く(87万人)、ここに住む方々の暮らし方が、地域の生物多様性の維持向上に大きく影響すると思われるため、この地域での実施を考えました。

あいにくの梅雨空でしたが、コンビニに貼られたポスターや環境系ポータルサイトなどを見て、区内にお住まいの方を中心に12名が参加されました。6月5日には、東京FMでも「Bセンスさんぽ」のことが紹介されました。

まずは、三軒茶屋駅から2駅先の若林駅まで世田谷線に乗車。10駅・全長5km、料金一律140円、2両編成の小さな電車です。若林駅の手前では、環状七号線の信号が青になるのを歩行者と一緒に電車も待ちます。ゆっくりと走り地域に密着した乗り物に、さっそくBセンスを感じました。

若林駅で降りたら、5駅先の山下駅まで沿線の街を歩きます。このあたりは、かつての農道を基礎に宅地開発が進められたため、細い路地が入り組んでいます。歩き始めるとすぐに、古くからここに住むお宅に残る緑が目にとまります。ケヤキ・スダジイの大木や井戸の跡からは、自然の恵みを受け続けてきたことを実感します。クリ・カキ・イチョウなど実がなる木もあちこちにあり、都市部でも食べ物や季節感を育むものが生きていることがわかります。お宅の玄関先で育てられているミカンの木では、カラスアゲハの幼虫が葉っぱをモリモリ食べていました。自分の家でも、野生の生き物のすみかを提供できることにあらためて気づきました。

狭い路地や烏山川緑道など歩く人を大事にした道では、車を気にせず、周りにゆっくり目を向け、鳥の声や花の香りを感じることができます。道の脇では、お地蔵様や道祖神を発見。お母さんに連れられて、小さな男の子がお参りに来ていました。地域の恵みに感謝してきた文化や歴史を感じます。緑道に植えられたキャベツには、モンシロチョウの幼虫が。雨に濡れてキラキラと輝いていました。世田谷八幡や豪徳寺のような大きな寺社には、まとまった緑が残り、生き物や私たちのくらしにとって、まさに都会のオアシスです。

住宅街を抜けて商店街に入ると、世田谷産の野菜を置いている八百屋さん、日本で獲れた魚をそのままの姿で並べている魚屋さん、店先に置いたプランターで稲を育てているお米屋さん、建物の廃材でお湯を沸かしている銭湯などを発見。どこで、何を、売ったり買ったり食べたりするかを気にすることが、地域の生物多様性に貢献できることに気づかされます。気さくに声をかけてくれるお店の人と話していると、なんだか気持ちも豊かになります。
さんぽの終点・山下駅のそばにある小さなコミュニティスペース・たまでんカフェ山下では、街の情報誌や古い写真などが置いてあり、地域の成り立ちや昔のようすを知ることができました。

傘を差しながらでは写真や記録がとりにくく、記録数は約30個とちょっと少なめでしたが、参加者からは「楽しい体験だった」「植物の多様性に驚いた」「お店の人の暮らし方や生き方が印象に残った」などの感想をいただきました。